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経営者は知らないとまずい!保育現場にこそ必要な「タイムライン防災」

私、脇が代表を務めます「株式会社アイギス」は、保育施設における危機管理・危機対応に特化した会社です。

事故やトラブルが発生した保育現場に臨場し、その対応策についてアドバイスすることを主たる業務としております。

保育業界における、いわゆるJAFのような会社です。また、私はそれらの現場で得た経験や情報を基に講演活動もしており、有り難いことに年150回ほど、全国の保育施設や保育団体、行政の方に招かれて危機管理研修を行っています。

私がこの業界で仕事をするようになって、早いもので16年経とうとしていますが、一般社会と保育施設では、危機管理への取り組み方が異なっていると感じることが多々あります。

そこでこの連載では、一般社会と保育施設の危機管理のギャップについてお話をしていきます。

第1回目のテーマは「タイムライン防災」についてです。

保育現場にこそ必要な「タイムライン防災」とは?

タイムライン防災とは?

平成26年に策定された 「タイムライン防災」をご存知でしょうか。

タイムライン防災とは、国土交通省のホームページによると”災害の発生を前提に、防災関係機関が連携して災害時に発生する状況を予め想定し共有した上で、「いつ」、「誰が」、「何をするか」に着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画。”と定義されています。

参考:国土交通省(http://www.mlit.go.jp/river/bousai/timeline/)

国、地方公共団体、企業、住民等が連携してタイムラインを策定することにより、災害時に連携した対応を行うことができ、被害を最小限に食い止めることができるのです。

自然災害は2種類に分類することができます。それは予測不可能型のものと、予測可能型のものです。

地震や噴火はいつ発生するか予測できないため、予測不可能型災害に分類されます。一方で大雨や台風は、事前にある程度いつ自分たちが住んでいる地域を襲うのかということがわかるため、予測可能型災害とされています。

予測可能型の水災害は、事前に被害を予測して避難することができるため、最近では、このタイムライン防災の考え方に則った動きが見られるようになってきました。

例えば、2018年近畿地方を中心に猛威を奮った台風21号では、JR西日本が台風接近に伴い京阪神の全ての在来線で計画運休を発表。それに伴ってユニバーサル・スタジオ・ジャパンも2日間休園をいたしました。このように一般社会では、徐々に休業に向けたタイムライン防災の考えが取り入れはじめています。

これまで主に国管理河川における水災害を対象に策定されていますが、今後は、水災害以外の災害においてもタイムラインが幅広く普及し、各地域における防災関係機関の災害対応力の向上が期待されています。

9割の職員が園児を避難させることは困難と言っている

しかし、保育施設はどうでしょうか。子どもを預けている保護者が仕事に行けなくなるからといって、行政から施設に明確な休園の指示が出ることはありません。むしろ「休園するならば、保護者全員からの承諾書をもらってください」と行政から言われることもあります。

このような現状から、保育施設はタイムライン防災から取り残されているといえるでしょう

もちろん水災害が直撃する際は、その地域一帯の保育施設が休園になるという地域もありまが、そのような地域はそう多くありません。

しかしながら保育施設こそ、タイムライン防災を取り入れるべきでしょう。それは保育施設が、身体の発達が未熟な子どもたちを預かる施設だからです。

これは皆様の方がよくご存知でしょうが、水災害直撃時に0歳児に対して「園が床上浸水しそうだから避難しましょう」と言ったとしても、0歳児が言葉を理解し、自分の足で避難することはできません。避難には必ず大人の力が必要です。

しかし、大人1人で避難させられる0歳児は、背中に1人背負って1人ずつ小脇に抱えたとしても3人が限度です。限られた人員で保育をしている中で、全ての園児を職員だけで避難させることは現実的に困難でしょう。

実際に弊社が、ある保育施設の職員を対象として行ったアンケートでも、9割の職員の方が「水災害直撃時に園児を避難場所に避難させることは不可能」と回答しています。

保育施設は子どもの命を守り育てる施設です。その命が危機にさらされる危険性がある時には、「休園」を選択することも1つの方策なのではないでしょうか。

まだ間に合う!タイムライン防災のための事前準備

では、実際にタイムライン防災を園で取り入れるための事前準備について、これからお伝えします。

タイムライン防災を園で取り入れるために、必要なものは2つあります。

まず1つ目は「保護者の同意」です。先程も少し触れましたが、水災害直撃時でも保護者が働く職場が休みとは限りません。そのため、園がタイムライン防災を取り入れて休園をしてしまうと、子どもを預けられなくなり、困る保護者も出てくるでしょう。

困った保護者が駆けつける先は行政です。だからこそ、行政は園に積極的に休園指示を出さないのです。

平成27年度から子ども・子育て支援新制度がスタートしました。それに合わせて施行された法令「内閣府令第39号」の第5条にて、園は保護者に対して「重要事項説明書」を交付して内容を説明し、同意を得ることが義務付けられました。第20条では重要事項説明書に記載しなければならない項目が11項目あげられています。その一つに「非常災害対策」があります。

各園では来年度に備え、保護者に対し重要事項説明書(入園のしおりなど)を用いて、入園説明会の準備をされているでしょう。

タイムライン防災を取り入れる第一歩として、皆様の園の重要事項説明書の中に、「台風などの水災害が直撃した時には、園児の命を守るために休園することがあります」という一文を付け加えてください。

そして、入園説明会で保護者に対して園の方針(水災害時直撃時には園を休園することもあること)をご説明されたうえで、保護者からの同意を得てください。

似た言葉ですが、同意と合意は異なります。水災害直撃時に園を休園することに対し、全ての人が納得し、賛成するという「合意」を得ることはできないでしょう。

2つ目に必要なことは「園の覚悟」です。台風直撃時に園を休園するとしたら、保護者からクレームを受けることも考えられます。また保護者からクレームを受けた行政からは、この園は厄介な園だとレッテルを貼られるかもしれません。

しかし、保護者からの反発を受けて、タイムライン防災を取り入れることをやめるのならば、最初から取り入れないほうがましでしょう。

保育施設において最優先で守るべきものは、保護者のニーズではなく園児の命です。入園説明会では、保護者に対してその想いを、皆様のお言葉で伝えいただく必要があるでしょう。

次回は保護者からの反発を抑える方法、行政への対応についてお伝えいたします。

【職員の意識調査シート】を無料でダウンロード

タイムライン防災を導入するには、保護者への周知が大切とお伝えしましたが、それ以前に園長や保育士、現場への周知が必要です。

ただ単に「タイムライン防災を導入します」と伝えても効果はありません。まずは現状を把握するために、簡単な意識調査が必要です。タイムライン防災の必要性を切に感じることでしょう。

下記から無料でダウンロードできるので、ぜひご活用ください。

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