保育士を経験されてから、保育園の園長や経営者になった方も多いでしょう。保育士としての経験がある分、自園の保育士に対して口出しが多くなっていませんか?アドバイスすることは悪いことではありません。しかし、アドバイスするタイミングに気をつけなければいけません。
保育士の成長を想って行っていた言動が、保育士の成長を妨げる原因になっている可能性があります。あなたの言動は大丈夫でしょうか?
経営者・園長の声‐よくある誤解
・保育士とは距離が近いので、気になることがあったらすぐに指導、修正するように心掛けています。修正するのが遅いと手遅れになりますからね
・保育士の成長のために管理者には「手取り足取り教えなさい」と伝えています。
よくある誤解に対する正しい対応方法
プロセスを管理してしまうと、保育士は考えもしないし失敗もしない
「細かいところまで教えて、細かいところまでチェックする。そして気づいたら、とにかく指摘する。間違った方向に行かないように、常に軌道修正してあげる。それが正しい方向に保育士が成長する方法である」
保育士を正しく成長させるには、プロセスを管理することが重要であると述べているのですが、これは完全に間違いです。どれだけ長い距離を一緒に走っても、保育士は少しも一人で走れるようになりません。短い距離でも、一人で走らせることで走れるようになるのです。
プロセスに口を出し過ぎる経営者や園長の下にいる保育士は、「上司の言う通りにやっているので、うまくいかなくても私のせいじゃないですよね」という言い訳の思考を強く持つようになります。こうなってしまうと、本来求められている「結果」を追い求める思考は停止し、「言われた通りにやる」もしくは「言われた通りにやっているように見せる」ことに集中し始めます。これでは良い成果につながるはずがありません。
これは「保育園の経営者・園長は、保育士の『頑張っている姿』を褒めてはいけない」の記事で伝えたことと似ています。
管理すべきはプロセスではなく、「結果」でなければいけません。求める結果を明確に設定し、期日を迎えた時に結果を報告させます。そして不足が発生しているようであれば、その不足を埋めるべく何を改善するのかを同時に報告させ、次の結果を設定します。これを繰り返していくのです。
プロセスの質を上げるのは部下である保育士の仕事です。プロセスに経営者や園長が口を出し過ぎると、保育士の仕事であるプロセスの質を上げることに対しての思考が停止します。そして、いつまで経っても指示してもらわないと動けない保育士ができ上がってしまうのです。
まとめ
プロセスは管理せず、プロセスに口出しはしない。プロセスに口を出すことは、保育士の成長を阻害することにつながります。結果を管理することで保育士は自ら考えるようになり、成長していきます。
保育士への褒め方についてはこちら→「保育園の経営者・園長は、保育士の「頑張っている姿」を褒めてはいけない」
「協力・連携」の落とし穴についてはこちら→「保育園の経営者が注意すべきこと「協力・連携」に潜む落とし穴」